iPhone初期化後のデータ復元|バックアップ別の可否と手順
この記事でわかること
iPhoneを初期化した後にデータを復元できるかは、バックアップと同期の有無で決まります。iCloud・パソコンからの復元手順、バックアップがない場合に戻せるもの、初期化する前に確認したいことをApple公式の情報をもとに解説します。
「iPhoneを初期化してしまった」「写真もLINEのトーク履歴も消えた」「そもそもバックアップを取っていたか分からない」。こうした状況で最初に知りたいのは、今からデータを取り戻せるのかどうかでしょう。
結論からお伝えすると、復元できるかどうかはバックアップと同期が残っているかで決まります。本体の中に消えたデータが眠っているわけではありません。
この記事では、Apple公式の情報をもとに、復元できるケースとできないケースの判定方法を整理しました。iCloudとパソコンそれぞれの復元手順、バックアップがなくても取り戻せるデータも扱います。あわせて、初期化を勧められたときに確認したいことにも触れます。
復元できるかはバックアップと同期の有無で決まる
初期化後のデータ復元は、手元に何が残っているかですべてが決まります。まずは次の表で、自分がどの状態にあたるかを確認してください。
| 手元にあるもの | 戻せる範囲 |
|---|---|
| iCloudバックアップ | バックアップを作成した時点のほぼ全体 |
| パソコンのバックアップ | 同上。暗号化していればヘルスケアなども含む |
| クラウド同期のみ(iCloud写真・Googleフォトなど) | 同期の対象になっていたデータのみ |
| どれもない | 本体からの復元はできない |
ここで多くの方がつまずくのが、「iCloudバックアップ」と「iCloud写真」がまったく別の仕組みであるという点です。混同したまま話が進むと判断を誤ります。
iCloudバックアップがあれば、その時点の状態に戻せる
iCloudバックアップは、iPhone全体の状態をまるごと保存する仕組みです。アプリの配置、設定、写真、メッセージなどが一括で保存されます。
設定アプリから自分の名前をタップし、「iCloud」に進むとバックアップの有無と最終作成日を確認できます。最終作成日が初期化より前であれば、その時点まで戻せる可能性が高いでしょう。
逆に、最終作成日が数か月前だった場合、その間に増えた写真やメッセージは戻りません。日付の確認は必ず先に行ってください。
パソコンのバックアップがあれば、同じく全体を戻せる
Macの「Finder」、Windowsの「Appleデバイス」アプリまたは「iTunes」でバックアップを取っていた場合も、全体を復元できます。iCloudの容量に左右されないため、容量の大きい端末ではこちらのほうが確実です。
過去に一度でもパソコンにつないだ記憶があるなら、そのパソコンを確認する価値があります。本人が忘れているだけでバックアップが残っていた、という例は珍しくありません。
バックアップがなくてもクラウド同期が残っていれば一部は戻る
バックアップを取っていなくても、クラウドに同期していたデータは無事な場合があります。iCloud写真、Googleフォト、Googleコンタクトなどが該当します。
同期はバックアップと違い、日常的に自動で動いている機能です。本人が意識していなくてもオンになっていたケースは多く、ここで写真だけは助かったという例もよくあります。
どれもない場合、本体からの復元はできない
バックアップも同期もない状態で初期化した場合、本体からデータを取り戻す手段はありません。理由は次の章で説明します。
厳しい結論ですが、ここを曖昧にしたまま高額な復元ソフトを購入しても、費用だけがかさむ結果になりがちです。
初期化は暗号鍵を消すため、本体にデータは残らない
iPhoneの初期化は、書類をシュレッダーにかける作業とは仕組みが異なります。データそのものを削除しているのではなく、データを読み解くための鍵を捨てていると考えると分かりやすいでしょう。
「すべてのコンテンツと設定を消去」で内部的に起きていること
Appleは公式ガイドで、デバイスの消去について次のように説明しています。
消去可能な領域に保存されているすべてのキーが消去され、すべてのユーザデータが暗号化によってアクセス不能になります。
(Apple「Appleデバイスを消去する」)
iPhoneの中のデータは、もともと暗号化された状態で保存されています。初期化はその暗号を解くための鍵を消す操作です。
鍵を失ったデータは、たとえ物理的に残っていても意味のある情報として読み出せません。これがiPhoneの初期化が「元に戻せない」といわれる理由になります。
本体スキャン型の復元ソフトでは戻らない
インターネット上には「バックアップがなくてもiPhone本体をスキャンして復元できる」とうたうソフトが数多くあります。しかし前述の仕組みを踏まえると、初期化後の端末に対してこの方式が機能することは期待できません。
記録媒体によっては、削除後も上書きされるまでデータの断片が残ることがあります。しかしiPhoneは鍵ごと消える設計のため、その考え方は当てはまりません。
復元ソフトが役に立つのは初期化以外の場面
とはいえ、この種のソフトがまったく無意味というわけではありません。役立つのは、初期化ではなく別の場面です。
- iCloudやパソコンのバックアップの中から、特定のデータだけを取り出したいとき
- アプリ側に一時的な保存領域が残っているとき
購入を検討する場合は、そのソフトが何を読み取って復元するのかを必ず確認してください。「本体を直接スキャンする」と書かれているだけの製品には注意が必要でしょう。
iCloudバックアップから復元する手順
iCloudバックアップがある場合は、パソコンがなくても復元できます。ただし進める前に確認しておきたい点がいくつかあります。
復元前にバックアップの日付と容量を確認する
設定アプリで自分の名前をタップし、「iCloud」から保存済みのバックアップを開くと、作成日とサイズが表示されます。
復元は基本的に上書きになるため、あとから「もっと新しいバックアップがあった」と気づいても戻せません。複数の端末のバックアップが並んでいる場合は、機種名も必ず見比べてください。
復元の手順
- 初期化したiPhoneの電源を入れ、画面の案内に沿って言語やWi-Fiを設定する
- 「Appとデータ」または「Appとデータを転送」の画面まで進む
- 「iCloudバックアップから復元」を選ぶ
- Apple Accountでサインインする
- 戻したいバックアップを日付で選ぶ
- Wi-Fiと電源につないだまま完了を待つ
写真やアプリは、本体の設定が終わったあともバックグラウンドでダウンロードが続きます。全部そろうまで数時間かかる場合があるため、途中で電源やWi-Fiを切らないようにしましょう。
すでに使い始めた端末は、もう一度消去してからでないと復元できない
ここが実務でもっともつまずきやすい箇所です。初期化のあと、うっかり初期設定を最後まで進めてしまうと、復元の画面には二度と戻れません。
Appleもユーザガイドで明記しています。
すでにデバイスを設定してある場合、以下の手順を使ってバックアップから復元する前に、すべてのコンテンツを消去する必要があります。
(Apple「すべてのコンテンツをバックアップからiPhoneに復元する」)
つまりもう一度「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行してから、初期設定をやり直す必要があります。「設定のどこを探しても復元ボタンがない」という場合は、たいていこの状態です。
パソコンのバックアップから復元する手順
パソコンにバックアップがある場合は、そこから復元します。使うアプリはOSによって変わります。
Macの場合
iPhoneをケーブルでMacにつなぎ、Finderのサイドバーに表示された端末を選びます。「バックアップを復元」を選び、日付を確認したうえで実行してください。
iPhone側で「このコンピュータを信頼しますか」と表示されたら、信頼を選んでパスコードを入力します。
Windowsの場合
Windowsでは「Appleデバイス」アプリを使います。Appleのユーザガイドでも、Windows環境でのバックアップと復元はこのアプリで案内されています。
Appleデバイスアプリが入っていないパソコンでは、従来どおりiTunesからも操作できます。どちらを使う場合も、アプリを最新の状態にしてから進めるほうが安全でしょう。
暗号化バックアップでないと戻らないデータがある
パソコンのバックアップには、暗号化したものとしていないものがあります。Appleによれば、暗号化したバックアップにだけ含まれる情報は次のとおりです。
- 保存したパスワード
- Wi-Fi設定
- Webサイトの履歴
- ヘルスケアデータ
- 通話履歴
出典はApple「iPhone、iPad、iPod touchのバックアップの暗号化について」です。同ページには「デフォルトでは、バックアップは暗号化されません」とも記載されています。
暗号化していないバックアップから復元すると、ヘルスケアの記録や保存済みパスワードは戻りません。なおiCloudのバックアップは暗号化されるため、この制約は当てはまりません。
バックアップがなくても、同期が残っていれば戻せる
バックアップがない場合でも、すべてを諦める必要はありません。同期の設定次第では、かなりの範囲が無事に残っています。順番に確認していきましょう。
iCloud写真・Googleフォトの同期を確認する
写真については、まず設定アプリで自分の名前をタップし、「iCloud」から写真の同期がオンになっていたかを確認します。オンだった場合、初期化後に同じApple Accountでサインインすれば写真は戻ってきます。
Googleフォトを使っていた場合も同様です。アプリをインストールして同じGoogleアカウントでログインすれば、バックアップ済みの写真と動画を確認できます。
連絡先・カレンダー・メモはアカウント側に残っていることが多い
連絡先やカレンダー、メモは、本体ではなくiCloudやGoogleアカウントに保存されている場合がほとんどです。これらは同期の対象なので、サインインし直すだけで復帰します。
本体にのみ保存する設定にしていた場合は戻りません。ただし初期設定のままであれば、同期側に残っている可能性が高いでしょう。
各アプリに再ログインすれば戻るデータ
アカウントに紐づくサービスは、ログインし直すだけで元の状態に戻ります。メール、SNS、動画配信、クラウドストレージなどが該当します。
ゲームアプリも、事前に引き継ぎ設定やアカウント連携を済ませていればデータを引き継げます。連携していなかった場合は、アプリの提供元に問い合わせるほかありません。
LINEのトーク履歴はバックアップがないと戻らない
LINEのトーク履歴は、LINEアプリ側で取ったバックアップからしか復元できません。iCloudバックアップとは別に設定する必要があります。
LINEヘルプセンターによると、標準バックアップは同じOS間の引き継ぎでのみ利用でき、トーク内の画像や動画はバックアップと復元の対象外です。またバックアップ時と異なるApple Accountでサインインしていると復元できない場合があります。
PINコードやQRコードでアカウントを引き継いだ場合は、直近14日間のトーク履歴のみが引き継がれる点にも注意してください。詳細はLINEヘルプセンターで確認できます。
データ種類ごとの復元可否
ここまでの内容を、データの種類ごとに整理しました。自分が取り戻したいものがどこに該当するかを確認してください。
| データ | iCloudバックアップ | パソコンのバックアップ | クラウド同期のみ | 何もなし |
|---|---|---|---|---|
| 写真・動画 | 戻る | 戻る | 同期済みの分は戻る | 戻らない |
| 連絡先 | 戻る | 戻る | 戻る | 戻らない |
| メモ | 戻る | 戻る | 戻る | 戻らない |
| SMS・iMessage | 戻る | 戻る | 「メッセージ」の同期がオンなら戻る | 戻らない |
| LINEトーク履歴 | LINE側のバックアップ次第 | LINE側のバックアップ次第 | 戻らない | 戻らない |
| アプリ内データ | アプリによる | アプリによる | アカウント連携していれば戻る | 戻らない |
| ヘルスケア | 戻る | 暗号化バックアップのみ | iCloudで同期していれば戻る | 戻らない |
| 保存したパスワード | 戻る | 暗号化バックアップのみ | iCloudキーチェーンなら戻る | 戻らない |
表を見て分かるとおり、いちばん左と右で結果が大きく変わります。普段からバックアップを取っているかどうかが、そのまま結果に表れる仕組みです。
復元が進まないときの原因
復元を始めたのに終わらない、途中で止まる、という相談も多く寄せられます。原因は大きく4つに分かれます。
iCloudの空き容量とWi-Fiの問題
復元にはWi-Fiと安定した電源が必要です。モバイル通信や不安定な回線では途中で止まりやすくなります。
Appleは、時間がかかる場合の対処として端末を電源とWi-Fiにつないだまま24時間置くよう案内しています。極端に遅い場合は、回線側のアップロード速度も確認してみてください。
iOSのバージョンが合っていない
新しいiOSで作成したバックアップは、古いiOSの端末には復元できません。復元先のiPhoneを先にアップデートすると解決する場合があります。
別のApple Accountでサインインしている
バックアップを作成したときと違うApple Accountでサインインすると、目的のバックアップが一覧に出てきません。家族で複数のアカウントを使っている場合は特に起こりやすいでしょう。
端末側が故障していて復元が完了しない
意外に見落とされるのが本体の状態です。バッテリーが劣化していると復元の途中で電源が落ちますし、発熱すると処理が中断します。充電コネクタの接触不良で、パソコンが端末を認識しないケースもあります。
ソフト側をいくら確認しても解決しない場合は、ハード側の不具合を疑う必要があります。iPhoneの電源が入らない原因と対処法もあわせて確認してみてください。
初期化する前にデータを残して直せないか確認する
ここまでは初期化したあとの話でした。最後に、これから初期化しようとしている方に向けて、知っておいてほしいことをお伝えします。
リンゴループや起動不良は初期化しなくても直る場合がある
リンゴマークで止まる、再起動を繰り返すといった症状は、必ずしも初期化が必要とは限りません。バッテリーの劣化や基板の一部の不具合が原因であれば、その箇所を修理することで復旧する場合があります。
初期化はあくまで最後の手段です。原因を特定しないまま実行すると、直らないうえにデータだけを失う結果になりかねません。
初期化を提案されたときに確認したいこと
修理窓口やキャリアで初期化を勧められたとき、次の3点を質問してみてください。
- 初期化以外に復旧する方法はあるのか
- データを残す前提での診断は可能か
- 本体交換になる場合、中のデータはどうなるのか
正規のサービスでは本体そのものを交換する対応になる場合があり、そのときは中のデータが戻りません。初期化や交換に同意する前に、データの扱いを確認しておくことが大切です。
起動しない端末からでもデータを取り出せる場合がある
電源が入らない端末でも、基板の状態によってはデータを取り出せることがあります。基板上の破損した箇所を修理し、一時的に起動できる状態に戻してデータを退避させる方法です。
費用や可否は症状によって変わります。判断材料としてiPhone基盤修理の費用相場とデータ復旧の料金相場もご覧ください。
近くに店がない場合は郵送で診断を受けられる
まちスマでは全国から郵送での修理とデータ取り出しの相談を受け付けています。運営する合同会社コネクトは2017年に設立し、代表は大手キャリアショップの運営代理店で責任者を務めていました。
「データが消えて悲しむ人を日本中からゼロにする」という理念のもと、初期化せずに直せないかを前提に診断しています。近くに相談できる店がない場合は、公式LINEから症状をお送りください。写真や文章での相談だけでも構いません。
郵送の流れや料金はiPhoneの郵送修理ガイドにまとめています。
次に同じことを起こさないバックアップ設定
復元が済んだら、同じことが起きないように設定を見直しておきましょう。数分の作業で、次のトラブルの深刻さが大きく変わります。
iCloudバックアップを自動にする
設定アプリから自分の名前をタップし、「iCloud」に進んで「iCloudバックアップ」をオンにします。電源とWi-Fiにつないでいる間、自動でバックアップが作られる仕組みです。
無料の容量では足りない場合、写真だけを別の場所に逃がすか、容量を追加する方法があります。月額の負担と、データを失うリスクを比べて判断してください。
写真だけでも二重に持っておく
すべてを守るのが難しくても、写真と動画だけは二重にしておくと安心です。iCloud写真とGoogleフォトを併用する、定期的にパソコンへコピーする、といった方法があります。
失って最も後悔が大きいのは、たいてい写真です。優先順位をつけて守るという考え方も現実的でしょう。
機種変更・修理に出す前のチェック
端末を手放す前には、バックアップの最終作成日を必ず確認してください。あわせてLINEのトーク履歴のバックアップも個別に取っておきます。
下取りに出したあとでは、元の端末を取り戻せません。手放す前の数分が、後悔するかどうかの分かれ目になります。
iPhoneの初期化とデータ復元に関するよくある質問
初期化したiPhoneのデータは業者なら復元できますか
バックアップも同期もない状態であれば、業者でも本体から復元することはできません。前述のとおり、初期化によって暗号を解く鍵が消えるためです。
一方で、初期化せずに故障している端末からデータを取り出す作業であれば、対応できる場合があります。状況によって可否が変わるため、まずは症状を伝えて相談してください。
初期化してから時間が経つと復元しにくくなりますか
バックアップから復元する場合、時間の経過は影響しません。バックアップさえ残っていれば、数か月後でも同じように戻せます。
ただし注意点があります。Appleによると、デバイスのiCloudバックアップをオフにすると、保存されているバックアップは180日間保管されたのちに削除されます(iCloudバックアップの対象となるもの)。復元の予定があるなら、設定をオフにしないでください。
バックアップを取った覚えがないのですが確認できますか
確認できます。別の端末やパソコンから同じApple Accountでサインインし、iCloudの設定画面でバックアップの一覧を開いてください。端末名と作成日が表示されます。
パソコンでバックアップを取っていた可能性がある場合は、FinderやAppleデバイスアプリからも確認できます。
パスコードを忘れて消去された場合も同じですか
同じです。パスコードの入力を繰り返し間違えて消去された場合も、内部で起きていることは通常の初期化と変わりません。復元の可否はバックアップの有無で決まります。
初期化と「すべての設定をリセット」は違いますか
違います。「すべての設定をリセット」は設定項目だけを初期状態に戻す操作で、写真やアプリなどのデータは残ります。データが消えるのは「すべてのコンテンツと設定を消去」のほうです。
不具合の解消が目的なら、まず設定のリセットから試すという順序も検討してみてください。
まとめ|復元の可否はバックアップと同期で決まる
iPhoneを初期化したあとのデータ復元について、要点を整理します。
- 復元できるかは、バックアップと同期が残っているかで決まる
- 初期化は暗号を解く鍵を消す操作のため、本体をスキャンしても戻せない
- すでに初期設定を進めた端末は、もう一度消去してからでないと復元できない
- バックアップがなくても、クラウド同期が残っていれば写真や連絡先は戻る可能性がある
- 初期化を勧められたら、実行する前にデータの扱いを確認する
いちばん避けたいのは、原因が分からないまま初期化してしまうことです。起動しない、リンゴループから進まないといった症状は、修理で解決できる場合があります。
判断に迷ったら、初期化する前にご相談ください。まちスマでは全国から郵送で受け付けており、公式LINEから症状を送るだけで診断の目安をお伝えします。