iPhoneのバックアップができない原因|iCloud・パソコン・本体別
この記事でわかること
iPhoneのバックアップができない原因は、iCloud側・パソコン側・本体側の3つに分かれます。容量不足やグレー表示の対処、本体の故障が原因になるケース、機種変更が迫っているときの優先順位をApple公式の情報をもとに解説します。
「iPhoneをバックアップできません」という通知が消えない。機種変更の予約日は迫っているのに、何をどう直せばいいのか分からない。そんな状況で検索された方が多いのではないでしょうか。
バックアップができない原因は、大きく3つの系統に分かれます。iCloud側・パソコン側・本体側のどれなのかを先に切り分けると、対処までの道のりが一気に短くなります。
この記事では、Apple公式の情報をもとに原因別の対処法を整理しました。あわせて、他の記事ではあまり触れられない「本体の故障が原因になっているケース」と、時間がないときの進め方もお伝えします。
原因はiCloud側・パソコン側・本体側の3つに分かれる
原因を探すとき、いきなり個別の設定を触ると遠回りになります。まずは症状から系統の当たりをつけてください。
| 症状 | 疑う系統 |
|---|---|
| 容量不足の警告が表示される | iCloud側 |
| バックアップの項目が押せない | iCloud側(設定・プロファイル) |
| パソコンにつないでも端末が表示されない | パソコン側または本体側 |
| 途中まで進んで必ず止まる | iCloud側または本体側 |
| 転送中に電源が落ちる、本体が熱い | 本体側 |
多くの解説記事は「iCloud編」と「iTunes編」の2つに分けています。しかし実際の相談では、本体そのものが原因でバックアップが完了しないケースが一定数あります。この記事では3系統目として独立させました。
iCloudでバックアップできないときの原因と対処
iCloudでのバックアップは、容量と通信環境に左右されます。よくある5つの原因を順に見ていきましょう。
iCloudのストレージが足りない
もっとも多い原因が容量不足です。AppleによるとiCloudの無料で使える容量は5GBで、写真を撮りためた端末ではすぐに上限へ達します。
設定アプリで自分の名前をタップし、「iCloud」に進むと消費容量を確認できます。さらに「ストレージ」から「バックアップ」を開くと、次回作成時のサイズが表示されます。
足りない場合の選択肢は2つです。不要なデータや古い端末のバックアップを削除してサイズを減らすか、iCloud+に変更して容量を増やすか、どちらかになります。
Wi-Fiにつながっていない、または回線が不安定
iCloudバックアップは、電源につながれ、ロックされ、Wi-Fiに接続されている状態で自動的に実行されます。なお5Gに対応した機種では、通信事業者によってモバイル通信経由のバックアップを選べる場合もあります(設定アプリの「iCloudバックアップ」内で切り替えます)。ただし既定ではWi-Fiが前提のため、まずはWi-Fiにつないだ状態で試してください。
Appleは、時間がかかる場合の対処としてアップロード速度を調べること、そして端末を電源とWi-Fiにつないだまま24時間置くことを案内しています。「止まっている」のか「時間がかかっているだけ」なのかは、この24時間が判断の目安になります。
「前回のバックアップが完成しませんでした」と表示される
このメッセージが出た場合、Appleは次の順で確認するよう案内しています。
- Wi-Fiに接続されているかを確認する
- 設定アプリの「一般」から「ソフトウェアアップデート」を確認する
- 別のWi-Fiネットワークで試す
- iCloudストレージの空き容量を確認する
途中で中断されたバックアップが残っていると、次回以降も同じ場所でつまずく場合があります。順に潰していけば解消することが多いでしょう。
バックアップの項目がグレー表示で押せない
意外と知られていないのが、この症状です。設定画面にiCloudバックアップの項目はあるのに、灰色になっていて操作できません。
Appleは原因を2つ挙げています。iCloudにバックアップできない場合のページで、次の確認方法が案内されています。
- 復元が進行中でないか(設定アプリで自分の名前をタップし、「iCloud」から「iCloudバックアップ」を開いて確認する)
- iCloudバックアップを制限する構成プロファイルが入っていないか(設定アプリの「一般」から「VPNとデバイス管理」を開いて確認する)
構成プロファイルは、会社から支給された端末や、学校などで管理されている端末に入っていることがあります。心当たりがなくても、過去に何らかのアプリを入れた際に追加されている場合もあるため一度確認してみてください。
Apple側のシステム障害が起きている
自分の端末に問題がなくても、Apple側のサーバーで障害が発生していれば実行できません。Appleはシステム状況のページで各サービスの稼働状態を公開しています。
他の対処を試す前に、まずここを見るだけで数十分の節約になる場合があります。
パソコンでバックアップできないときの原因と対処
パソコン経由のバックアップは、iCloudの容量に左右されない代わりに、環境の影響を受けやすい方法です。原因は5つに整理できます。
パソコンの空き容量が足りない
バックアップはパソコン内に保存されるため、端末の使用量に見合った空きが必要になります。128GBのiPhoneをほぼ使い切っている場合、同等の空き容量を用意してください。
保存先のドライブを変更できないアプリもあるため、システムドライブの空きを先に確認しておくと安心です。
アプリやiOSのバージョンが古い
Windowsでは現在「Appleデバイス」アプリが用意されています。Appleのユーザガイドでも、このアプリでの手順が案内されています。アプリが入っていないパソコンでは、従来どおりiTunesも利用できます。
Macの場合はFinderから操作します。いずれの環境でも、アプリとiOSを最新にしてから試すほうが確実でしょう。
セキュリティソフトが通信を止めている
他社製のセキュリティソフトが、iPhoneとパソコンのやり取りを遮断している場合があります。一時的に停止して試すと切り分けができます。
停止する際は、ネットワークから切り離すなど安全を確保したうえで行ってください。確認が済んだら忘れずに元へ戻しましょう。
ケーブルやポートで端末が認識されない
充電はできるのにパソコンが端末を認識しない、という状態は珍しくありません。ケーブルには充電専用の製品があり、データ通信に対応していないものが混じっています。
別のケーブル、別のUSBポート、可能なら別のパソコンで試してください。どれを試しても認識しない場合は、本体側の充電コネクタを疑う段階に入ります。
「このコンピュータを信頼しますか」に応答できていない
iPhoneをパソコンにつなぐと、iPhone側に確認のダイアログが表示されます。ここで「信頼」を選び、パスコードを入力しないとバックアップは始まりません。
画面が割れている、タッチが効かないといった状態では、この操作自体が完了できません。パソコン側からは端末が見えているのに何も進まない、という場合はここを疑ってください。
本体の故障が原因でバックアップできないことがある
ここからは、他の解説記事ではあまり扱われない領域に入ります。設定をいくら見直しても解決しない場合、原因が本体側にあることは実際にあります。
いずれも断定はできないため、あくまで疑うべきサインとして受け取ってください。
バッテリーの劣化で転送中に電源が落ちる
データ転送は電力を多く使う処理です。バッテリーが劣化していると、瞬間的に必要な電力を供給できず、途中で電源が落ちることがあります。
設定アプリの「バッテリー」から「バッテリーの状態と充電」を開くと、最大容量を確認できます。数値が大きく下がっている場合や、充電しながらだと最後まで進むという場合は、バッテリーが関係している可能性があります。
充電コネクタの接触不良でパソコンが認識しない
コネクタ内部の端子は、充電用とデータ通信用で役割が分かれています。そのため充電はできるのにデータのやり取りだけができない、という状態が起こり得ます。
コネクタにほこりが詰まっているだけの場合もあります。無理に硬いもので取り除こうとすると端子を傷めるため、状態が分からないときは触らないほうが安全でしょう。
画面が反応せず操作を完了できない
前述の「信頼」の確認だけでなく、バックアップの実行には端末側の操作が伴います。タッチが効かない、表示が乱れるといった症状があると、途中で先へ進めなくなります。
この場合、画面を交換すれば通常どおりバックアップできる状態に戻ることがあります。データを取り出すために復旧作業を依頼する前に、画面の修理で解決しないかを確認する価値があります。
発熱で処理が中断する
本体が高温になると、保護のために動作が制限されます。バックアップのような負荷の高い処理は、その影響を受けやすい作業です。
ケースを外す、涼しい場所に移すといった対処で改善する場合があります。改善しないほどの発熱が続くなら、内部の不具合を疑ってください。
ストレージ側の不良でデータを読み出せない
特定のデータだけ転送に失敗する、毎回同じ進捗で止まる、といった症状が出ることがあります。本体のストレージから正常に読み出せていない状態です。
この状態で使い続けると、読み出せない範囲が広がる場合があります。早めの診断をおすすめします。
バックアップが取れない状態は、データを失う直前のサイン
ここまで読んで、原因が本体側にありそうだと感じた方に、ひとつだけお伝えしたいことがあります。
バックアップが取れないということは、端末とデータのやり取りがすでに不安定になっている可能性を示しています。今は画面が映り、写真も見られる状態でしょう。しかしそれが続く保証はありません。
次に電源が入らなくなったとき、バックアップがなければデータを取り戻す手段は大きく限られます。取り出せるうちに取り出しておくことが、唯一の確実な備えになります。
まちスマを運営する合同会社コネクトは、その現実を目の当たりにしたことが創業のきっかけになったと公式サイトで公表しています。故障した端末を持ち込んだ利用者にバックアップがなく、お子さんの写真がすべて失われた出来事です。
同じことを繰り返さないために、通知が消えないまま放置しないでください。
バックアップを確実に終わらせる手順
原因が解消したら、あらためて実行します。方法ごとに手順を確認しておきましょう。
iCloudでバックアップする
- Wi-Fiに接続し、電源につなぐ
- 設定アプリで自分の名前をタップする
- 「iCloud」から「iCloudバックアップ」を開く
- 「今すぐバックアップを作成」を選ぶ
- 完了するまで画面をロックしたまま待つ
途中でWi-Fiが切れると最初からやり直しになる場合があります。安定した回線で実行してください。
パソコンでバックアップする
MacはFinder、WindowsはAppleデバイスアプリまたはiTunesを開きます。接続した端末を選び、「今すぐバックアップ」を実行してください。
このとき「ローカルのバックアップを暗号化」にチェックを入れると、保存されるデータの範囲が広がります。Appleによれば、暗号化したバックアップにだけ含まれるのは次の情報です。
- 保存したパスワード
- Wi-Fi設定
- Webサイトの履歴
- ヘルスケアデータ
- 通話履歴
出典はApple「iPhone、iPad、iPod touchのバックアップの暗号化について」です。既定では暗号化されない設定になっているため、必要な方は自分でチェックを入れてください。
LINEなどアプリごとのバックアップを別途取る
LINEのトーク履歴は、端末全体のバックアップとは別に、LINEアプリ側で取る必要があります。ここを忘れると機種変更後にトークが消えます。
LINEヘルプセンターによると、標準バックアップは同じOS間の引き継ぎでのみ利用でき、トーク内の画像や動画は復元の対象外です。またPINコードやQRコードで引き継いだ場合、戻るのは直近14日間のトーク履歴のみになります。
詳細はLINEヘルプセンターで確認できます。
機種変更が明日に迫っているときの優先順位
時間がないときは、すべてを完璧に守ろうとすると結局どれも守れません。優先順位をつけて動きましょう。
まず写真と動画だけを退避させる
失って最も後悔が大きいのは、たいてい写真です。全体のバックアップが進まないなら、写真だけを別の場所へ逃がすことを先に済ませてください。
パソコンへ直接コピーする、Googleフォトにアップロードする、といった方法があります。数千枚あっても、寝ている間に終わる場合がほとんどです。
iCloudの容量を一時的に確保する
容量不足が原因なら、古い端末のバックアップを削除するだけで空く場合があります。設定アプリの「iCloud」から「ストレージ」を開き、使っていない端末の項目を確認してみてください。
それでも足りなければ、iCloud+へ一時的に変更する方法もあります。データを失う損失と比べれば、数か月分の負担は小さい判断になるはずです。
クイックスタートで新端末へ直接移す
新しいiPhoneが手元にあるなら、バックアップを経由せず端末同士で直接移す方法があります。2台を近づけて画面の案内に従うだけで進みます。
ただし旧端末が正常に操作できることが前提です。画面が反応しない状態では利用できません。
どうしても間に合わないときの選択肢
期日までに終わらない場合、旧端末を手元に残しておけば後から取り出せます。ここで絶対に避けたいのが、データを移せていない端末を下取りに出してしまうことです。
下取りに出した端末は返ってきません。ショップで手続きを進める前に、中のデータが移せているかを必ず確認してください。
故障が疑われるときの相談先
本体側に原因がありそうな場合、どこへ相談するかで結果が変わります。それぞれの特徴を整理しました。
正規サービスは本体交換になりデータが戻らない場合がある
メーカーの正規窓口では、部品交換ではなく本体そのものを交換する対応になる場合があります。その場合、中のデータは戻りません。
保証を使えるという利点はあるものの、バックアップが取れていない状態で持ち込むと、データを諦める判断を迫られる可能性があります。
修理店ならデータを残したまま直せる場合がある
街の修理店では、原因となっている部品だけを交換する対応が中心です。バッテリー交換や充電コネクタの交換でバックアップが取れる状態に戻れば、そのあとは自分で作業できます。
ただしメーカー保証は使えなくなります。保証期間内であれば、どちらを優先するかを先に決めておいてください。
近くに店がない場合は郵送で診断を受けられる
まちスマでは全国から郵送での相談を受け付けています。運営する合同会社コネクトは2017年に設立し、代表は大手キャリアショップの運営代理店で責任者を務めていました。
「データが消えて悲しむ人を日本中からゼロにする」という理念のもと、データを残す前提での診断を基本としています。症状の写真や文章を公式LINEから送っていただければ、見立てをお伝えします。
郵送の流れや料金についてはiPhoneの郵送修理ガイドをご覧ください。
iPhoneのバックアップができないときのよくある質問
「iPhoneをバックアップできません」の通知は無視してもいいですか
おすすめできません。通知が出ている間、バックアップは作られていない状態が続きます。
その状態で端末が故障すると、データを取り戻す手段がなくなります。容量不足が原因なら数分で解消できる場合も多いため、早めに対処してください。
iCloudに空き容量があるのにバックアップできないのはなぜですか
容量以外の原因が考えられます。Wi-Fi接続、前回の中断、構成プロファイルによる制限、Apple側の障害などが該当します。
本記事のiCloudの章を上から順に確認していくと、多くの場合で原因にたどり着けるでしょう。
iCloudのバックアップは最低何GB必要ですか
端末の使用状況によって変わるため、一律の数値はありません。設定アプリの「iCloud」から「ストレージ」を開き、「バックアップ」に表示される次回作成時のサイズが目安になります。
無料で使えるのは5GBです。写真を多く保存している端末では不足しやすくなります。
バックアップにどれくらい時間がかかりますか
データ量と回線速度によって、数分から数時間まで幅があります。Appleは時間がかかる場合、端末を電源とWi-Fiにつないだまま24時間置くよう案内しています。
それでも終わらない場合は、別の原因を疑う段階に入ります。
iCloudとパソコン、どちらでバックアップすべきですか
両方あると安心ですが、どちらか一方ならデータ量で決めるとよいでしょう。容量が大きい端末はパソコン、手軽さを優先するならiCloudが向いています。
パソコンで取る場合は、暗号化のチェックを入れると保存される範囲が広がります。
まとめ
iPhoneのバックアップができないときの要点を整理します。
- 原因はiCloud側・パソコン側・本体側の3系統に分かれる
- iCloudでは容量不足のほか、構成プロファイルによる制限でも項目が押せなくなる
- パソコンでは、充電専用ケーブルや「信頼」の未応答でつまずくことが多い
- 設定を見直しても解決しない場合、本体の故障が原因のことがある
- バックアップが取れない状態は、データを失う直前のサインになる
機種変更が迫っているなら、まず写真だけでも退避させてください。そしてデータを移せていない端末は、絶対に下取りへ出さないことを覚えておいていただければと思います。
本体側の不具合が疑われる場合は、早いほど選べる手段が多く残ります。判断に迷ったら公式LINEから症状をお送りください。全国から郵送で受け付けています。